ジュエリーとバッグのルーツ|時代別に見るファッション小物の進化
投稿日:2025年10月13日
はじめに|ジュエリーとバッグは“時代の鏡”
ジュエリーやバッグは、単なる装飾や持ち運びの道具ではありません。その時代の価値観・技術・身分制度を反映した、いわば「時代の鏡」とも言える存在です。 本記事では、古代から現代までの各時代におけるファッション小物の進化を、文化背景とともに詳しく解説します。
1. 古代|神々への信仰と富の象徴
ジュエリー:エジプトとメソポタミア
紀元前3000年頃のエジプトでは、金やラピスラズリを使ったネックレスや指輪が広まりました。 これらは装飾というよりも宗教的・呪術的な意味合いが強く、「生命力の象徴」「悪を払う護符」として用いられました。
バッグ:動物の皮と布袋
初期のバッグは実用的な道具として発展。メソポタミア文明では、食料や貴重品を運ぶために動物の皮で作られた袋が使用され、腰にぶら下げる形で持ち運ばれていました。
2. 中世ヨーロッパ|階級と宗教の象徴
ジュエリー:騎士・貴族・教会の象徴
中世のヨーロッパでは、ジュエリーは身分や信仰の証として用いられました。貴族は紋章入りのリングや十字架のネックレスを好み、教会の高位聖職者も豪華な宝石で権威を示しました。
バッグ:“ポーチ”の登場
中世末期には衣服にポケットがなかったため、腰に吊るす小さな袋=ポーチが普及。男性は書簡や硬貨、女性は香料や化粧品を入れる用途で使用していました。
3. ルネサンス〜バロック|美と権力の融合
ジュエリー:王侯貴族の威厳とセンス
宝石のカット技術が進歩し、ルビーやエメラルドなどのカラー宝石が王侯貴族の間で流行。ルイ14世は「ダイヤモンドは王の証」として、自らの権威を飾るために活用しました。
バッグ:装飾化とブランド性
この時期になるとバッグは実用から装飾品としての意味を帯びるように。刺繍やビーズが施されたハンドバッグは、貴婦人のファッションの一部として洗練されていきました。
4. 19世紀|産業革命と中流階級の台頭
ジュエリー:モーニングジュエリーの流行
ヴィクトリア女王が喪に服したことで、黒いジェット石を使ったモーニングジュエリーが流行。死を悼むファッションとして、社会全体に定着しました。
バッグ:鉄道旅行とがま口バッグ
鉄道の発展により旅行バッグの需要が増加。この頃に“がま口”の金具が登場し、女性用のハンドバッグが広く使われるようになります。
5. 20世紀|モダン化と大衆化
ジュエリー:ココ・シャネルの革命
シャネルはパールのフェイクネックレスを「誰でもおしゃれできる時代」の象徴として広めました。本物の宝石でなくても良い、という新しい価値観が生まれます。
バッグ:2.55とシャネル革命
1955年に登場した「シャネル2.55」はショルダーチェーン付きバッグという新概念を生み、バッグが「機能性×エレガンス」を両立する存在に。
6. 現代|個性とストーリー性を重視する時代
現代では、ジュエリーもバッグも「価格」よりも物語性やエシカル性が重視される傾向にあります。 リサイクル素材、ヴィンテージの再評価、ジェンダーレスなデザインなど、多様化の波が押し寄せています。
SNSの普及により、アクセサリーやバッグは自己表現の手段としても重要な役割を担っています。
まとめ|ファッション小物にこそ、時代が宿る
ジュエリーやバッグは、時代とともに変化し続ける「動く文化遺産」です。 その背景を知ることで、ファッションはより深く、意味のある楽しみに変わります。
「このバッグはどんな時代に生まれたの?」「このジュエリーにはどんな想いが込められているの?」 そんな問いを持つことで、あなたのファッションはぐっと豊かになることでしょう。
コメント